今日のドライブを小説風に綴ってみるよ

 昼。以前無料になったと聞いている岡南大橋を通ってみたいと思い立ち、早速行動に移してみた。
 道筋自体は以前に地図をみていたため、大体の位置は把握している。確か児島湾締切堤防の西あたりだったか。そう考えて簡単な行路を決めてみる。
 締切堤防の向こう側に児島湾大橋と言う橋があり、ちょうど岡南大橋の向こう側に出ることが出来る。岡南大橋を渡って東に向かえば岡山市外に出ることが出来るから、町に出てしばらく遊覧して帰るか。
「まあ、すぐ帰ってこれるだろ」
 このときは、その後3時間にわたる長時間ドライブになるなど予想だにしなかった・・・
 
「・・・ここはどこだ?」
 そう思い始めた道中。すでに出発から一時間ほど経過していた。
 児島湾大橋と岡南大橋はすぐ近くに隣接しており、通常の行路ならばまず間違いなく迷うことなどない。それが、なぜこんなセリフを吐くことになってしまったのか。
 事の発端は児島湾大橋の中腹にさかのぼる。橋は太鼓状になっており、ど真ん中まで走るとようやく先が見え始める。そこで見た光景と言うのが・・・
「・・・懐かしい」
 かつて小学時代の頃、夏休み中の遠足として巨大なプールと温泉のあるテーマパークに毎年行っていたことがある。名はテルマスプラザ。小高い丘の上にどっしりと構えるウォータースライダーは一つの目印になっていた。
 期待に満ちたその道中に見た光景がそこには広がっていたのだ。
 このとき私にある考えが浮かんだ。テルマスに行ってみよう、と。
 あのテーマパークは5年ほど前に閉店し、その後音沙汰はない。完璧とはいえないが、その道中にて見た「上道駅」の看板を覚えている。その看板こそが丘の入り口。ならばそれを目指せばいい。
 そう思い立った私は、即座に進路を変更。自分の記憶だけを頼りにその看板を探した。
 しかし、当然記憶と言うのはあいまいなもので、橋から看板の道など覚えてはいなかった。見る見るうちに景色は見覚えのない町並みへと変わっていく。そうして今に至る。
 
 やはり安易な考えで下調べもなしに来るべきではなかったか、との考えが脳裏をよぎる。だが目的の看板は駅の看板。しかも電車のマークがついていたのを覚えている。つまり山陽本線沿いを進めば自然にたどり着けるということだ。
 私はとにかく北上した。周りの景色は相変わらず見覚えもない。しかしこのまま北上すれば確実に線路を見つけられると信じて北上していた。
 そしてついに、新幹線の高架下に延びる山陽本線を発見した。もうここから先はこの線路沿いを走るのみだ。
 線路を発見して15分。ついに例の看板を見つけることができた。あとはこの坂を上ればテルマスにたどり着ける。意気揚々と坂を上って行った。途中「関西棋院 上道支部」との看板を見かけた。なるほど、支部が全国にあるというわけか。
 ・・・あれ?
 上っては見たものの、どこを探してもそれらしきものが見当たらない。あるのは大小さまざまの宅地のみだ。
 それから30分ほど駆け回ってみたが、ついに見つけることは出来なかった。
「・・・・・・無くなってしまったのか」
http://www4.pf-x.net/~scytheleg/tempyou/diary/picture/20060604.html
 かつて存在していたであろう場所には跡形すら残ってはいなかった。もともと広大な土地だ、廃墟として無為に放置しておくこともない、そう踏んでいたのだろう。
 私は独りその場を後にした。もうこの場所に来ることもないだろう。
 
 帰り道にTSUTAYAに寄り、インヒューマン・ランペイジを購入。ソニック・ファイアストームヴァレイ・オブ・ザ・ダムドが無かったのは残念だが、これだけでもよしとしよう。
 帰り道は来た道を再び戻る。当初の目的を果たすために。ずいぶんと遠回りしてしまったが、最終的に岡南大橋を渡るという目的を達成することができた。
 出口の料金所跡と思われる不自然な平地は、なぜか哀愁を醸し出していたように感じた。おそらく水玉ブリッジラインにも同じような平地が出来ているのだろう。そう考えると、少し寂しい気もした。
時間はすでに3時間を回っていた。もうこの時間では町に遊びに出るわけにも行かないだろう。そうして私はそのまま帰路についた。

こんにちは。いつもと違ったことをするとなぜか長文にせずにはいられないscythelegです。いかがお過ごしでしょうか。
目的の岡南大橋からテルマスプラザまでは20km以上も離れているんですが、その道中に見た光景を思い出して「これは近いんじゃないか」と言う錯覚を起こしたがためにこんな長時間ドライブになってしまった次第です。
もう、アホの一言に尽きますね。